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Blog/2017-10-05

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秋の風

「物言えば 唇寒し 秋の風」
人の悪口を言えば、なんとなく後味の悪い思いをするというたとえ。
また、余計なことを言えば 後で災いを招くという「松尾芭蕉」の名言一句である。
秋風そよぐ里山の方角では、次第に秋色が濃くなり、シダや山モミジも色づき
草原にはコスモスに合わせたように、ススキの穂が幻想的な風景を作り出している。

「物言えば 唇寒し・・」
家内の愚痴を聞きながら、秋の野菜作りに汗をかく。
体力づくりで始めた野菜畑も、私ごとき心のこもらない者には
一向に上達しないのは自然の成り行きである。
勿論、野菜づくりは家内が専門で、私は暇つぶし的な格好で付き合っている。
もともとそのような性根の違いから、作物に対する知識は彼女の方が数段格上になっている。

私は口を開けば、やれ足が痛い、やれ腰が痺れると
しょっちゅう愚痴をこぼしながらクワを振り上げるから
なにごとも心得違いの知識差は大きく、今では彼女に教えられることの方がはるかに多い。

この前、彼女との会話の一節。
3年前に苗木を買って畑の隅に植えた甘柿の実が、今年はあろうことか
10個ほど実り、まさに柿色に色づいている。
「初柿だから、味見に一個もいで食べてみようではないか・・」
収穫には、率先して口を出す私。
「あんた‼それは駄目よ! 柿は色づいても、霜に会わなければ甘くはならないから
 3回くらいは霜に合わせてから収穫するものよ!」
ドンピシャリの御意見であった。

柿や秋口の果物は、暖・寒の繰り返しで、果実の中に糖分を蓄える。
寒さが厳しくなるごとに、寒さから実(身)を守るために糖分を増して対抗する。
寒くなれば、人間は一枚ずつ衣服を重ねるように、果物は糖分を増して身(実)を守る。
だからせめて3回くらいの霜に合わせないと、本当の柿の甘さは出ないもの!
これが、私と彼女の真剣さの違いからくる知識の大きな差である。

「真実の言葉は必ず相手の心に届く」成るほど成るほど。
一本取られたと私は頭をかいた。
自然のなせる知恵は、全てが真実である。
人生はもともと苦労の道を通りこさなければ、人間としての真実の味わいは生まれない。
私たちは忍耐し「霜と言う苦」を通り越すことで、知恵を生み、喜びを見出して
正しく生きていくことが出来る。
たとえどのような苦難であっても、永遠に続く苦難はありえない。
海のかなたに沈んだ夕陽も、朝には必ず東の海原から昇ってくるように
人生は繰り返される。

秋を彩る柿の成熟にも、力の漲るドラマが存在する。 
私は彼女に一本取られた照れ隠しで、今まで以上に耕作のクワを高く振り上げた。
何度苦労の峠を乗り越えれば、私は甘い柿に熟成できるのであろうか。
自分の未熟度に肩で大きく息をする。
「秋の風」は心地よく汗の額を撫ぜて通り過ぎていく。
人生は忍耐の道、あきらめず最後まで生き抜くことこそ、本物の人生道ではないだろうか。



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