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Blog/2019-07-29

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誠実の提灯 心に一つ

私の幼い頃、島の夜道は街灯の一つも無くて、月明かり以外はいつも真っ暗闇であった。
幼い時に母親を失った寂しさに、私が小学校に上がる前までは
本家のお祖母さんが母親代わりに我家に泊まりに来てくれていた。
お祖母さんを迎えに行くのはいつも私の役回り
冬の夜道は手もかじかんで夕暮れは早かった。

私は左手にお祖母さんの手を引きながら、凸凹の道を右手で足元を照らす。
一張の提灯〔 ちょうちん 〕が頼みの道案内であった。 
村落の夜道は何処の家庭からも夕餉の茶の間に、薄ぼんやりと明かりがこぼれ
ひっそりと凍りついた空気に襟をすぼめながら、躓〔 つまづ 〕かない様に
ひたひたと歩いたものである。

今昔、暗い夜道で頼りにした一張の提灯を懐かしく思い出すとき
私の脳裏には夜の海を黙々と走る、航海灯が重なって思い出されてくる。 
昔は足元を照らす一張の提灯以外には、照明はどこにも無かった。 
暗い夜道を行く提灯の役割を思えば、その灯りは船の航海灯と良く似ており
深夜に目を凝らす一人の当直者にも似て、想いはつながる。

船舶の夜目も見張りには余分な明かりは目障りで
澄んだ闇の中に見える他船の航海灯が鮮明に見えるほど
航海予測は楽になる舵取りの条件であろう。 
少年はお祖母さんが傍にいなければ寂しくて眠れないように
一人の当直者は頼る仲間たちが、今夜も安心して眠れる
「一張の提灯」でなければならない。

行く手には沢山の障害物と迷いが漂う。
そんな時には懐にたたんでしまえる提灯が一張りあればよい。
その提灯は「 誠実 」であったり「 知恵 」であったり「 信頼 」であったり
漆黒の海を安全目指して走りゆく燈明になろう。 
懐の提灯は、乗組みの全員が持つ「 向上心 」であり
「 安全・安心を支える真実 」でなければならない。

凍りついた夜道に夜犬の遠吠えが聞こえてくる「 ウォ~・ウォ~ン 」
お祖母さんの農業に荒れたゴツゴツの手をシッカリ握って曳く。
今日も昔話をねだりながら提灯の灯りを足元に照らす。 
提灯はユラユラ揺れて、二人の影も一緒に揺れながら尾を引いたていた。
 
誰でも、行く道に一つの明かりがあればそれで良い。 
明かりと共に前へ進めばよい。
私にとってその明かりは、皆さんの安全な航海がいつまでも続く願いに違いない。



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