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Blog/2020-02-20

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嫁ならず 船の出戻り

最近の気象では温暖化現象のためか、いったん荒天が始まれば
予想外の強風が続き、猫の目のように変わる天候は
異常に感じる現象が繰り返し続いている。  
季節風の強い時はもちろんのこと、低気圧の接近で予想外に波浪やうねりが大きい時
あるいは続航するには積荷が不安定なプラント輸送・濡れが心配なコイル材など
航海を続けるか否かは、船長の辛い孤独な判断で決まる。

日々の動静表には、其々が積荷の心配と到着時間の悩みが語られている。 
此処は走るべきか避難するべきか、時化を覚悟で短距離の日本海を選ぶべきか? 
距離は延びても避難港の多い太平洋を選定すべきか? 
悩み続け、さらに時間と燃料消費の問題にも安全運航への悩みは語られる。 
一体、「輸送効率」とは何を指していうものか。
皆さんの冬季の悩みを総括して、的を射た意見がある。

勿論、私にも的確な意見は手持ちにはないが、間違いのないところは
船舶による輸送効率の特徴は、他の輸送手段と比較した場合の輸送コストの低さにある。 
これは一度に大量に輸送できる効率の高さによるものである。
ただし、海洋の自然現象に左右されるところから
安定かつ安全に輸送されることが前提となる。
まさに正論中の正論である。

この話にちなんで昔の船乗りの話に戻ると「 船の出戻り 」という言葉が存在した。
出戻りというのは、他家に嫁いだ娘が離婚して実家に帰ってくることであるが
昔は海の男にも使われていた言葉である。 
江戸時代の大型帆船は、一本の帆柱と一枚の大きな帆を使用していたので
追い風にはよく走ったが
途中の逆風に変わったときはジグザグに上手( うわて )上りをしたのである。
しかし、その効果は殆どなくて、むしろ風下に流される方が大きいため
無理をすれば遭難の憂目にもあいかねなかった。

このような逆風になった場合、近くの島影で「 風待ち 」をするのが常であるが
適当な風待ちに適した場所がない時は、安全上もとの港まで引き返すことが
しばしば行われていたという。
これを「 出戻り 」と呼び、安全輸送のためには、今も昔も決して非難されるべき行為ではない。

避難すべきか?続航すべきか?とどまるべきか?引き返すべきか?
「 人は失ってから初めて、そのものが大切であったことに気がつく 」
船長という責任は、いつもその岐路に立たされる。 
失って気づくのであれば、それは後悔が残る結論になる。
重ねた経験と深い思慮で乗り越える船長という職務は
あまりに大きな責任を持たされている現実。
例え非現実的ではあっても、法外な時化続きの異常気象には
「 船の出戻り 」話で、そっと労わりたい我が意なり。



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