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Blog/2021-03-02

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伏せたコップ

私たちの多くは、何事によらず自分の失敗で撒いた種は
もう二度とあってはならないと強く反省する。 
ところが、実際の現場では、痛い目にあってから懲りたのでは
すでに取り返しはつかないことの方が多い。 
そこで職場では、「 規則を守ろう! 安全第一! 早目の避航!見張りを遵守! 」などと
事故に至らないために、危険意識を強く持たせることへ躍起になる。
勿論、規則を守るのは職場の基本中の基本である。

絶対に遵守しなければならない規定とは、その多くは過去における苦い犠牲や
手痛い教訓が生み出した実例から、学びとられている例が多い。 
それにも拘らず、「 安全厳守 」「 厳禁事項 」とか「 安全教訓 」とかは
自分が実際に体験しているものではないだけに、とかく軽視しがちとなり
その危険性の持つ実態を、本音で理解していない方が多い。

どのように素晴らしい教訓も、効果的な啓発も、相手が心を開かなければ伝わるわけはない。
それは、伏せたコップの上から水を注いでいるのと同じであろう。 
これはあたかも、「痛くないものに痛いと思え、懲りる前に懲りなさい」と
諭しているのと同じで、人の習性にその様な実体のないものを
想像で思い込ませようとしている意味と似ている。

自動車免許証・再交付の時に受ける授業には、ビデオで交通事故の悲惨な実態を
モデルを使って映写して見せるのは、伏せたコップを上に向けようと
試みているのとよく似ている。 
ところが交通ルールだけを再教育して詰め込んでみても
ドライバー自身に遵守する「心」が育たない限り、学んだ高等な警告も
その更新の帰り道にさえ、元に戻ってスピード違反をしてしまう者がいる。
つまり伏せたコップにすぐ逆戻りしてしまう。 
安全上の多くの問題点は、つまるところ乗組員自身の心と態度の問題に行き着くのである。 

船舶を運航する者は、そのすべてが海技資格取得者である。  
海洋の航海と操船・運用上の作業・気象学・その他多くの安全教育を受けた小集団である。 
本来なら危険なものは危険なように、学んだことを生かして遵守すれば
危険は避けて通れるはずが、やる気が起きない、取り組む姿勢もない
その様な不心得と態度の欠陥によって、事故に類する引金を引きやすくしてしまう。

安全上の問題で難しいのが、その意識・行為・態度・人間性の問題が
一番難しいところである。
つまり、人の心構えとしてコップが上に向いた状態でない限り
いかに良い教育・良いルール・良い環境がそこにあっても
そのルールだけでコップの中身を満たすことは出来ない。 
安全遵守は人の性質、人の心の持ちように大きく左右されるのが真実である。 
なぜ私が苦しみながら長々と、毎日のメッセージに時間を割くのか
変わったテーマを投げかけ続けるのか。
「 人は常に日々、変化と課題を持って生き続けるべきである 」
そう思い、日々を前向きに自己啓発することで
意識のコップが上向けになるに違いないと願い、確信する思いにある。

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春の大嵐にご注意下さい。「今日は発達中の低気圧が日本列島沿いに延びて北上中です。このため各地域では大雨の処が多くなり、前線・通過後は各海域は強風を伴う大荒れの気圧配置が予想されます。各船の皆さんには「停泊中の走錨」・「航行中の突風」・「離接岸には強風による操船困難」な状況等を十分に配慮されまして、今日も安全な運航に徹して下さい。」



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