「潮」の香りに乗せて 「心」をつなぐメッセージ

この本を書き上げるに至った私の思い

「潮」の香りに乗せて「心」をつなぐメッセージ

私は今、海運の道に入って50年の節目を迎えました。
20年間の船長職を経て、陸上勤務を拝命後は労務管理と
安全管理を預かり現在は船舶管理会社を経営する者として
海の道を一貫して歩き続けてまいりました。

海運業を営む者としましても、最も重要なる条件は
物流貨物の安定した流通であろうと思います。
安定した流通を阻むものは、経済だけの問題ではありません。
乗組員の磨かれた技術による、安全運航との二輪によって
安定した物流が確実に達成できるものだと思います。

私達の携わる船舶管理業は
荷主様の大切な積荷・船主殿の財産である船舶
また、多くの乗組員の生命を預かって運航するものです。
運航には完璧な連携と技術を駆使しなければ
未曾有の力を持つ自然界を安全に乗り越える事はできません。
しかし、今昔、時代は変わっても海難事故による船舶の遭難や積載貨物の損傷
あるいは、職場の労働災害が一向に減少する気配が無いのも、関係する皆様には
大きな憂いとなったままです。

この大きな難題は海運に関係される多くの方々の悲願であり
更に、留守を預かる家族にとりましても、安全遵守は生命線に値するものです。
海難事故や労働災害は人の運命を変えてしまうほどの決定力を持っています。
過ちであれ不注意であれ、そのために残った傷は企業には存続の是非
乗組員には一生を背負う大きな不幸です。

私の長い年月の体験に学んだ教えは
海難事故や労働災害は、総じて人の不注意や油断から起きる
心の持ちかたに大きな原因があることに気が付きます。
その心に呼びかける言葉や、考え方を伝える事がとても大切であると気付いた次第です。

心構えのしっかりしている人には、災害は無縁です。
そんな心の在りように着目して、一人でも多くの人の気付きによる
海難撲滅を悲願として書き溜めたものです。
多くの海難事故は、心構えが正しい方向に向かえば
そのほとんどを防ぐ事ができると確信します。
更に人として様々な心のさまよいが発生する事も、生きていくうえでは
致し方ないことだと思います。
それらの条件の上に立って、私がひたすらに貫くことが出来る事があるとしたら
日常身近に感じる心構えを、休み無く訴え続ける継続の力が必要なのだと確信しました。

私が携わった年月、苦しみ迷いながら書き溜めた心構えは
土日を除く毎日、送り続けた願いの通信を没する事は出来ないと思いました。
10年以上の通信は、原稿用紙にすれば1万枚程度の枚数になると思います。
船舶の衝突には相手が存在するものです。
弊社の乗組員のみならず、できるだけ多くの方々にこの心を伝えて
この世の中に発生する不幸な事故が一つでも防げることを悲願として
一冊の本にまとめる事にした次第です。

この三点に絞り、私の体験を通して訴え続ける人生読本としました。
勿論、私は物書きでも小説家でもありませんので、文章の内容は
誉められるような内容では無いと感じています。
関係各位様と多くの乗組員の皆さんに読んでいただき
少しでも海難撲滅に寄与できる事が、私のひたすらな願いなのです。

平成24年 2月15日

株式会社 広島シッピング

代表取締役 旗手 安夫

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